軸の固定法

工学・情報学メモ

この記事では,機械設計で必要になる軸の固定を実現する方法についてまとめます.

止めねじ

セットねじ,芋ねじ,ホーローセットとも呼ばれます.ただし,芋ねじはすりわり付き止めねじを,ホーローセットは六角穴付き止めねじを指すことが多いようです.部材からねじ頭を出さないように取り付けられるため,回転軸の固定によく用いられます.先端形状にバリエーションがあり,用途に応じた使い分けが可能です.締め付け力の計算を正確に行うことが難しく,また大きな締め付け力も期待できないため,大きなトルク伝達を行う軸に用いるには注意が必要です.

先端形状の選び方

基本的にはくぼみ先を選択します.相手部材に食い込むため,ずれにくいという特長があります.相手部材が変形しやすい素材であったり,何度も付け直す必要がある場合には平先を選択します.相手部材に鉛直に接しない場合には丸先にします.相手部材にキー溝がある場合には棒先にします.相手部材に円錐状の窪みやV字の溝を掘り,そこに食い込ませて止める場合には尖り先にします.

穴の種類の選び方

M1.6以下の場合,六角穴付きではなめやすいので,すり割り付きにするとよいです.

細目,並目の選び方

締め付けに時間がかかってでも緩みにくさを重視する場合には細目にする.

緩みやすい場合の対処法

止めねじが緩みやすい場合,止めねじの数を増やす,ねじの径を大きくする,ダブルナットにする,嫌気性接着剤を使用する,という対策がとれます.

フリクションジョイント

ETPブッシュ(三木プーリ),メカロック(アイセル)といった商品名でも呼ばれます.軸とハブの間にはめ込み,軸方向に取り付けられた複数のロックボルトを締めつけることにより軸とハブに押しつけ力を発揮させ,摩擦力で軸をハブに固定するものです.軸やハブにキー溝のような加工を施さなくて済む,高精度に軸とハブの同心度をだせる,という利点がありますが,部品数が多いです.

キー,スプライン

軸とハブに溝を設け,その隙間に金属部品を埋め込む方法です.溝の加工が必要ですが,大きな回転力を負担できるため,自動車や工作機械などの軸締結に用いられます.

ピックアップ記事

関連記事