知らないとまずい、研究発表の9つの超基本の鉄則
研究発表について多くの経験者が口を揃えて指摘する超基本の鉄則があります.これらの鉄則を知らなければ、研究発表を成功させることは叶わないでしょう.この記事では,知らないとまずい発表の鉄則についてまとめます.
①発表時間は絶対に守る
途中で質問が来ようが,PCとプロジェクタの接続トラブルが起きようが,発表を打ち切るタイミングは与えられた発表時間内に収まるようにしましょう.決められた発表時間を過ぎたとたんに,ほとんどの相手は発表をまじめに聞くのをやめてしまいます.そうでなくても,次の予定を気にして集中力が下がってしまいます.
②相手のためになる話をする
どんな人が聞きに来ているのかを事前に把握して,相手が欲しがっている情報を伝える努力をしましょう.欲しいと思っている情報を聞くと記憶にも残りやすいものですし,そもそもプレゼンテーションとは,相手のためになるメッセージをプレゼントするためのものです.
③集中していない相手にもわかるようにする
発表の最初から最後まで一瞬も集中を切らさずに話を聞いてくれる相手にだけわかってもらえればよい,というスタンスは損です.どんなに興味をもって聞いてくれようとしている相手でも,一部の言葉を聞きそびれたり,スライドから目を離したりすることがあるので,それでも話についていけるようにしておくべきです.
④目的と結論のスライドの内容を対応させる
研究目的は,発表において最終的に下される最終結論を少し抽象化したものにしておきましょう.例えば,最終結論が「Aの80%はBであった」であれば,目的は「Aの何%がBであるかを明らかにする」,「Aは何でできているかを明らかにする」などにすべきです.研究目的は,最終結論がどのようなものかを予告しておくためのものだからです.
⑤研究目的に強く関連する内容の紹介に絞る
研究目的の前の背景説明,および後で説明する結果と考察は,研究目的と強く関連するものだけにしましょう.関連の弱い枝葉末節が多ければ多いほど,最終結論の導出の論理(論証構造)が見えにくくなり,発表全体の説得力が低下します.
⑥質問には端的に答える
質問には短く答えましょう.特に,発表途中の質問に対してこの鉄則を守ることは非常に重要です.質問に対する答えが長いと,相手に「よくわかっていないんだな」と判断されてしまいますし,発表したかったことを話すための時間がその分削られてしまいます.
⑦立場を明確にして一貫させる
ディベートの基本を守りましょう.何かを説明する場合の立場が揺らいでいると,急速に説得力を失います.立場が明確でなければ,主張は響きません.「ある一貫した立場において,結果を集め,それらに考察を与えたときにはどのような結論が得られるのか」ということが議論の出発点になりうるからです.自分がどのような考えで目的を設定し,データを集め,何かを作り,結果を測り,まとめ,考察し,そして各段階の結論を根拠として最終結論を導出したのかを明確にしておきましょう.
ややこしい説明をしない
最終結論が何で,その妥当性のよりどころとなる根拠は何か,という論証の構造をはっきりと伝えましょう.これが伝わっていなければ,この確認のための細かい(本質的でない)議論に終始してしまい,その結論が妥当だとしたら次に何が言えるだろうか?という実りのある議論ができません.
⑨各スライドの結論と概要を先に言う
各スライドにおいては,根拠よりも結論を先に,詳細よりも全体の概要を先に説明することを徹底しましょう.結論がわかっていないと根拠を根拠として聞くのが難しく,全体の概要がわかっていないと,詳細と全体の関連が掴めません.
参考
1.研究発表の心得