研究発表を楽に聞く方法① -序盤で把握するのは4つだけでよい-

研究技術解説

研究発表を聞くのは大変で,苦痛だと感じたことはありますか?実は研究発表は,いくつかのポイントに絞って話を聞くだけで重要な部分のほとんどを楽に理解することができます.途中で疲れて眠くなってしまうほど,一字一句聞き漏らさないように集中し続ける必要はないのです.この記事では,特に研究発表の「序盤」にどのようなポイントに絞って話を聞けばよいかを解説します.

序盤で把握すべきはこの4つ!

発表の序盤では,次の4つのポイントを意識して話を聞くとよいでしょう.

  1. 研究のメインターゲットはどんなものか?
  2. それをどうしたいのか?
  3. 何が障壁なのか?
  4. どうやってその障壁を乗り越えるのか?

この4つのポイントが把握出来たら,研究の「テーマ」と「研究目的」が理解できた,ということになります.下に,これらのポイントの関係を図解しています.これが序盤の話の構造です.この構造を図としてイメージしながら聞くと整理しやすいでしょう.

確認ポイント① メインターゲットはどんなものか?

まず確認すべきは,「メインターゲット」です.これは,研究発表の最初から最後まで登場する主役のことです.その特性や問題点が指摘され,実験や評価,あるいは議論の対象となるものです.ロボットだったり人だったり,あるいは物質だったり現象だったり,ときには概念であることもあるでしょう.単にロボットといっても,ロボットの顔が主役のときもあれば,手が主役のときもあります.

その発表の中で,一体何が主役として扱われているのか,またそれがどんなものなのかを精確に捉えるための情報を集めるようにしましょう.主役がわからないままでは,その先の大事な話を聞き漏らしたり,勘違いしてしまいますから.

確認ポイント➁ どうしたいのか(課題)

次に確認すべきは,どうしたいのか,つまり課題のことです.問題の解決であるかもしれませんし,謎を明らかにしたい,というものだったり,さらに良くしたい,あるいは実現したいという類のものかもしれません.メインターゲットについての課題を聞き漏らさないようにしましょう.

メインターゲット×課題,つまり,「メインターゲットをこうしたい」というのは,「研究テーマ」と呼ばれます.「○○可能なロボットの実現」とか「××現象の原因の解明」などです.研究テーマは,たいていの場合発表タイトルに含まれているので,タイトルもしっかり確認して,メインターゲットと課題がそれぞれ何かにあたりをつけておくのがおすすめです.

確認ポイント➂ 何が課題の解消を困難にしているのか?

次に確認すべきは,課題の解消を困難にしている障壁です.一見簡単そうにみえる課題でも,それを解消しようと実際に研究課題に取り組んできた人にしか見えていない障壁があるはずです.障壁がなければ,研究をするまでもなく,したがって研究発表も成されないからです.その課題の何が難しいのか,何が,なぜ難しくしているのか,といった障壁が何かを確認しましょう.

確認ポイント➃ どうやって障壁を超えるのか

最後に確認すべきは,障壁を突破して,課題を解消するための突破のアイデアです.研究課題の解消に障壁がある限り,それを突破する鍵となるアイデアもあるはずです.それが何か,なぜそのアイデアで障壁が解消できそうなのかを確認しましょう.

障壁×突破のアイデア,すなわち,課題解消の難しさをどうやって乗り越えようとするのか,というのは「研究目的」と呼ばれます.本当に乗り越えて課題を解消できるかどうかを確かめるのが研究活動なのです.研究目的は大抵の場合,発表スライドの3~5ページ目で宣言されますので,聞き漏らさないようにしましょう.ただし,課題の難しさ(障壁)や,突破のアイデアの説明が曖昧なまま,漠然とした研究目的を宣言する研究発表も多々ありますので,自分で情報を集めて考えることが重要です.

まとめ

研究発表を聞く際に,序盤で意識して確認するとよい4つの確認ポイントを紹介しました.序盤以降は,さらに4つの確認ポイントがあります.中盤を楽に聞くための方法については下の記事で解説しています.

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