日常生活での研究テーマの見つけ方
研究テーマを決めるための方法には様々ありますが,一つには「自分が主張したい結論をまず明確にする」という方法があります.卒論なら一年後,修論なら二年後の発表で,自分が他人に何を主張できる人間になっていたいか,という将来のビジョンをまず定め,そこから逆算で必要な作業を決めていくという方法です.自分が主張したい結論を定めるには,日常での気づきが大切です.この記事では,研究テーマの種となりうる,日常場面での気づきを紹介します.
➀自分ならもっとうまくやれる(気がする)
既存の機械装置,建築物,取り組まれていた実験などを見て,自分ならもっとうまくやれる,と感じたことがあるのなら,研究テーマの種としては上等です.それを具体的にどうすればうまくできるのかを世に示す研究です.自分の中に理想がなければ,研究の過程で必要となる作業は退屈で無価値なもののように感じてしまい,本来その過程で得られるはずの学びも失われてしまいかねないからです.「自分ならこう作るのに」「ここを直したくてたまらない」「なんでこうしないんだろう」「このやり方はおかしい」など,何かを見たり聞いたりした時の自分の意見を大事にしましょう.この気づきを研究テーマにまで育てることができたら,きっとモチベーションを高く維持できるはずです.
きっとこうなっている(はずだ)
何か不思議さを感じるものに対して,現時点ではうまく言葉では説明できないにしろ,自分の中では確信を持てる説明があるのなら,それも上等な研究テーマに成りえます.その確信が正しいかどうかを検証する研究です.むしろ,確信を持てない結論に向かって研究を進めることは,悩ましく,また苦しい作業となって継続できないでしょう.
白黒をつけたい
世の中で白熱している議論に決着をつけることも重要な研究成果です.何か白熱した議論が交わされていて,何でこんな不毛な議論に終始しているんだろうと感じたら,それも研究の種を見つけたことになります.様々なやり方で作られている人工物,様々な実験方法,複数の説明が為されている現象がある場合,結局どのやり方がいいのか,どの説明が白なのか,黒なのか,決着をつけることができれば,世界で行われる議論はよりレベルの高いものになります.
以上のような種を見つけられたら,まずは順調な第一歩が踏み出せたと言えるでしょう.ただし,このような種を日常の場面でうまく見つけ出すためには,「今何がどうなっているか」「何が問題となっているか」「何が議論されているか」について知っている必要があるので,まずはサーベイ(分野調査)が必要です.さらに,見つけた種が本当によい種なのか,また芽が出る種なのかを慎重に見分ける作業がさらに必要です.よい種(よい研究テーマ)とは何なのか,またこの種をどのように育てていくべきか(研究計画の立て方)については,別の記事でまとめる予定です.