発表の流れのパターン4つ

研究技術解説

登壇発表やポスター発表の準備に際して,発表の流れをどのようにすべきか,という問題にはいつも悩まされます.何から話し,どのように話題を展開し,何を訴えるべきかは,説明する相手によっても,また発表の結果何を得たいかという発表の目的によっても違うからです.この記事では,発表の流れを決める助けとなる4つの流れのパターンを紹介し,それぞれのパターンで発表を組み立てる際の注意点についてまとめます.

問題解決型(SPIN型)

問題提起から始め,原因を仮定し,解決のための方法を示し,最後に問題がどの程度解決されたかを紹介するものです.科学分野でも工学分野でも,最も一般的な型でしょう.マーケティング用語であるSPIN型(Situation状況理解,Problem問題指摘, Implication問題の重要性の認識 Need-payoff解決策の提案)とも関連します.研究の良し悪しは,提起した問題の重要性と解決の度合いで判断されるため,「いかにその問題が重要であるか」を効果的に訴え,また「残った問題は何か」を明確に示すことが必要です.問題となっている背景や,解決された暁に待っている理想的な未来を丁寧に紹介するとよいでしょう.

空雨傘型

ある論点について事実を整理し,独自の解釈を加え,今後どうすべきかという行動指針を提案するものです.既存の研究に囚われない新たな取り組みに意義を与える場合に用いられます.どれだけ網羅的に事実を集めたか,解釈は論理的かどうか,提案に具体性があるか,が評価のポイントになります.事実を集めた方法や解釈の論理展開を丁寧に説明することが必要です.

FABE型

紹介したい(売り込みたい)対象の特徴(Feature),優位性(Advantage),メリット(Benefit),証拠(Evidence)を明確にして対象のメリットを納得させる方法です.開発した装置や道具を使ってもらえる共同研究相手を探す場合などに効果的です.どのようなものなのか,記憶にとどめてもらうために特徴は単純化して伝えるべきです.また,他と比べて何が違うのか,という説明も必要です.さらに,それを使うとどのような場合にどのような結果が期待できるのか,という説明も,可能な限り具体的に記載しておく方が,採用されやすくなるでしょう.上記の主張の説得力を高めるため,優位性やメリットの根拠となるデータは必ず必要です.

時系列型

過去どうだったかを整理し,現在どうなっているかを紹介し,その流れの先にはこんな未来が待っているからこうすべき,という提案をする方法です.大御所の先生方のキーノートスピーチや記念講演などで時折見られる形式です.若手研究者に期待を伝えたり,分野が進むべき道を示す目的で用いられます.経験豊富な先生であれば,データなどの根拠が揃っていなくても説得力は高いですが,若手が主張するにはよっぽどの根拠が必要かと思います. 参考

  1. アイデア発想フレームワーク 堀公俊
  2. FABE分析(ファブ分析,ファベ分析)
  3. 営業の強力な質問スキル:SPIN(スピン)

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