「空・雨・傘」の論理的3点思考で発表や報告に強くなる

研究技術解説

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問題解決のための論理的思考法として「空・雨・傘」の三点で思考する方法が多くのビジネス関連の書籍や記事で紹介されています.この思考方法を身につけておけば,報告や発表の場面で「なんでそうしたの?」「それで,どうするの?」「なんでそう言えるの?」のような質問を相手に言われないようにしたり,即座に答えられるようになるため,是非とも身につけたい技術です.この記事では,この「空・雨・傘」の思考法について紹介します.

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そもそも「空・雨・傘」とは

この方法は,事実認識(空は一見晴れているが西の地域で雨が降っている.そして風向きは東向きだ.),仮説的解釈(もうすぐここも雨が降るのではないか),行動判断(だから傘を持って行くのがよさそうだ)の三点を明確に区別し,また省略せずに考えを進めていくというものとして紹介されています.妥当な行動選択を可能にし,問題が生じたときの軌道修正を容易にし,また判断を相手に提案するときの説得力を高めるために有効であるとされています.

なぜこの思考法が必要か

このような思考法は研究の場面でも重要です.事実に基づかない行動判断は妥当性にかけ,説得力がなく,行動を徒労に終わらせる危険性があります.また,どのような解釈をしたかの明確な意識なしに行動を判断した場合,それがうまくいかなかった場合の次善の策を決める方針が立たず,右往左往する破目に陥ります.さらに,仮説しかない状況であっても,次にどうするかを決めてとにかく行動に移さなければ,仮説の正しさや間違いも確認できません.研究をスムーズに,且つ迷わず,着実に進ませるためにはこの思考法がとても有効なのです.

実際にはどうすればいいか

この思考法に基づけば,複数の測定方法のいずれを採用すべきか,など行動判断に困ったときは,まず判断基準となるデータを集めて整理し,次にそのデータから行動の判断基準となりうる仮説を立てればよいと言えます.このような経緯を経て決定した行動判断は,進捗報告や論文の審査の場面でも「論理的且つ妥当な」ものであるとして認められ易いでしょう. また,行動の結果,期待したような成果が得られなかった場合には,まずその行動の判断の根拠とした仮説の修正を検討することから始めればよいでしょう.データの他の解釈は成り立たないか,あるいはデータの解釈が曖昧なものではなかったかどうかを再確認しましょう.それでも解釈に自信が持てるようであれば,データを疑うことを始めましょう.データが不十分でないか,誤りが含まれていないかを丁寧に見直しましよう. データは揃ったように思えるもののうまく解釈ができない場合は,誰かにそのデータを見せてみてどのような捉え方が可能かを聞いてみるのもよいでしょう.誰しもが解釈に困る場合は,データがまだまだ足りないという解釈をして,もっとデータを集めるという行動判断をすればよいでしょう. データの集め方については,別記事を参考にしてください. 参考

  1. 頭がいい人はなぜ,方眼ノートを使うのか? 高橋政史
  2. 問題解決力を高める「空・雨・傘」の思考パターン
  3. 「空・雨・傘」の枠組みをいかに利用するか

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