Discussion(議論)の書き方 -記載すべきこと・すべきでないこと-

研究技術解説

Discussionは,得られた事実に対してどのような解釈ができるのか,そして次は何をするべきかという行動判断について記載する項目です.別記事で紹介した「雨(事実)→空(解釈)→傘(行動判断)」のうちの空と傘について記述される,論文の中で最も著者の意見が盛り込まれる箇所です.この記事では,Discussionにおいて記載すべきこと,また逆に記載すべきでないことについてまとめます.

記載すべきこと

①結果の解釈と主張

Resultで紹介したデータはどのように解釈できるか,またそこから何が主張できるか,など,読者に持ち帰ってもらいたい主要なポイントをまとめましょう.なぜそのような解釈が論理的に成立するかについても丁寧に記載すべきです.論文のタイトルとアブストラクトを読んだ後,すぐにDiscussionを読み始める読者のことも想定して,なるべく前半の段落にこの内容を記載しておくとよいでしょう.

➁手法や前提の自己評価

実験手法や計算手法,実験環境,一時的に設定した仮定や前提など,結論の根拠となるデータを生み出したり影響したりする要因について,その長所や短所,妥当性や不足点をまとめましょう.欠点のない完璧な手法や環境であることは現実的に誰も期待していないので,率直に欠点を書くべきです.欠点が書かれていなければ,欠点を認識せずにそれらを採用したとみなされて,結果と結論の信頼性が損なわれます.

➂先行研究との比較

最も関連の強い先行研究と比較し,自身の研究の優れている点がどこにあるか,共通点や同意店はどこにあるかを明確にしましょう.分野についての確かな知識のある研究者であることの証明にもなります.

➃データの再吟味

データから導き出しうる解釈や結論が他にもあるようであれば,それらも補足的に紹介しましょう.また,解釈や結論と合わないデータ(外れ値や例外)についても言及し,それらの原因を説明しましょう.

➄実際的な応用

研究の結論の内容はどんな役に立つのか,具体的な応用先をまとめましょう.応用先が広く,また重要であるほど,その結論の意義は高まります.Conclusionの節を設ける場合には,この内容はその節に記載します.

➅今後可能になる展開

今後は何をすべきか,後続の研究のための方針を示しましょう.手法を改善すべきなのか,同じ手法でより多くのデータを得るべきなのか,それとも得られた結論の応用の評価をすべきなのか.研究の今後の道筋を描く最初の権利が著者には与えられています.よりよくするためのアイデアを記載することも可能ですが,出し抜かれる危険性もあるのであえて書かないという選択も重要です.Conclusionの節を設ける場合には,この内容はその節に記載します.

記載すべきでないこと

①Resultにない新しいデータ

事実として得られたデータは全てResultに記載しましょう.散らばっているとややこしいです.

➁Resultのデータが裏付けていないこと

Discussionにおける議論は,Result内のどのデータを根拠として展開したものなのかを明記しましょう.例えば,「Figure. 1で示したように」「~で得られた~のデータに基づけば」などの表現が必要です.データを明記することなしに解釈(~と言える)や行動判断(~をすればよいだろう)に言及してはいけません.

➂Introductionで紹介しなかった話題

議論で触れる話題はIntroductionで予め予告しておきましょう.

➃具体性のない表現

いくら解釈が許される部分であるとはいえ,正確性が求められます.「非常に」「割と」「少なからず」「常に」のような曖昧な形容詞だけでなく,定量的な情報で表現することに特に慎重になりましょう.

参考

  1. 論文を書くとき毎回悩む人に朗報 - 最難関「Discussion」は、こう書けば大丈夫
  2. 論文の「考察」の書き方
  3. 論文の構成
  4. エディターに真剣に受け止められる学術論文を書くための11のステップ

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