研究の技術や工学系Tisp,その他研究上必要になった情報のメモを載せています.

システムズ・アンドロイドロボティクス

アンドロイドロボットの機械工学を基軸とする超域研究領域として提唱するシステムズ・アンドロイドロボティクスについて解説します. 概要 システムズ・アンドロイドロボティクスとは,機械工学を基軸とする超域研究領域として石原が提唱しているアンドロイドロボット研究の枠組みであり,様々なレベルのシステムとしてアンドロイドロボットを捉えることで,本質的な研究課題の発見や,解決,そして応用を促進しようとするものです.下の図のように,特に,柔軟素材と電気機械要素からなるアンドロイドの身体機械システム,そのアンドロイドと人が親密に関り合う対人関係システム,そしてアンドロイドの対人性能向上により情報学や心理学,産業界や医療福祉分野などが分野共創的に価値を与え合える研究と産業のエコシステムの3つのシステムを重視しています. 挑戦目標 分野毎に異なる課題に挑むことになりますが,基軸となるのは,多様な機能が相乗効果的に搭載されている人体のように高い感知・表現力を備える人工身体システムを作り上げるという機械工学的挑戦です.下の図に,分野毎の挑戦課題を示しています.人から質・量ともに豊富な情報を得られるようにするにはロボットをどのように操ればよいかという情報学的挑戦は,機械工学領域の挑戦を通じたロボット身体機能の根本的かつ効果的な向上を伴うことなしには発展がありません.また,ロボットとの触れ合いにおいていかなる心理・行動変容が人に生じるかを分析しようとする心理学的挑戦も,機械工学領域の挑戦によってロボット身体の詳細な作り分けや再現性確保がなされなければ,ケーススタディに留まり,深い考察が行えません.加えて,上記のような学術分野との共創を通じて開発される人体に近い身体システムの要素デバイスは,その特徴を生かし,それぞれに別の形態として人社会の課題の解決に資する技術として転用可能だと考えます. 背景課題と意義 これまでのアンドロイドロボットは,多分に職人芸的な手作業に頼って開発されていたため量産性や再現性に乏しく,また機械性能評価の指標がないため,様々な仕様のロボットが十分な性能比較もなされないまま乱立していました.さらに詳細かつ定量的な仕様説明もないロボットを用いた種々の実験の結果は,深い考察や他ロボットへの転化が困難なケーススタディになりがちでした.ケーススタディすら乏しかったアンドロイドロボット黎明期はすでに過ぎ,さらなる発展を遂げるためにケーススタディを超えた理論体系の構築が必要とされています. システムズ・アンドロイドロボティクスは,その要請に応えようとするものです.柔軟に多様な動作を実現する骨格機構や感知・呈示機能に優れる高機能皮膚などの身体要素の開発手法や制御法の確立によって性能の底上げを図り,また,身体システムの表現力や人らしさ,触れ合いやすさ,親しみやすさの定量的評価法を定めることによってアンドロイドロボットの個体間性能の優劣比較や,問題箇所あるいは改善度を定量的に把握することを可能にする試みを推進します.このように仕様が定まったロボットを使用した実験研究であれば,実験の結果の違いがどのような仕様の違いに起因するものであるかを精密に考察することが可能になります.さらに,人に近い構造の機能デバイスやそれを対象とした評価指標は,アンドロイドロボット以外の用途,例えば医工学(人皮膚に近い構造の触覚センサを模擬皮膚とした手術技能評価)や心理学(人物の表現力や親しみやすさの定量化)の分野においてもそれぞれに活用可能であることが期待されます. アンドロイド独自の難しさ アンドロイドロボットがどんなものかは容易に想像できる一方で,うまく造りあげるための方法論は確立されていません.特に,表現力や感知力といった他者との関係構築における基本かつ重要な機能が高機能化できないままになっています.その要因の一つは、アンドロイドの特徴でもある柔らかい被覆の取り扱いの難しさにあります.人の皮膚のように多彩な表現力や感知力を備える高機能被覆を実現するには,既存デバイスの単純加算ではない,新しい発想のデバイス開発が必要です.また,その被覆を効果的に活用するには,身体的な触れ合いが人とロボットの関係を変える機序も明らかにしなければいけません. 研究のフォーカス アンドロイドロボットを以下のように捉えて研究を進めています. 柔らかい素材と硬い機械のハイブリッドシステムとしてのアンドロイドロボット 人工知能と人を結ぶ,感知力と表現力に優れる生物様のユーザーインターフェースとしてのアンドロイドロボット 人との感情豊かな触れ合いで交わされるデータ収集装置としてのアンドロイドロボット

子供型アンドロイドロボットAffetto

子供型アンドロイドAffetto(アフェット)は,まるで子供を相手にするかのような情緒豊かなロボットとの触れ合いの実現を目指して2011年から開発を続けている触れ合い性能特化型の小型で柔軟なアンドロイドです.2011年に初代の頭部と上半身機構を,2014年に脚部機構を,2015年に二代目の上半身機構を開発し,しなやかに動作する全身骨格機構としてプレスリリースを行いました.2015年からは肉厚で柔軟な皮膚触覚センサの開発も開始し,表現力だけでなく,感知力の向上も図っています.2018年に,二代目の頭部を開発し,プレスリリースを行いました.表現力と感知力を十分に高めた子ども型アンドロイドの実現は,これまで取得困難であった,触れ合いで交わされるデータを主観視点で能動的に収集する手段を得ることを意味します.このようなデータに基づいて触れ合いの理解が進めば、人とうまく触れ合うためのやり方を人工知能に学ばせる方法論が見出され、人との関係性をうまく調整して効果的に働きかけられるロボットの実現に繋がると期待しています. [smartslider3 slider=2] 個別テーマの紹介記事 主要論文 小型多自由度柔軟骨格機構の設計開発(上半身機構を紹介した論文,脚部機構を紹介した論文,顔機構を紹介した論文) 柔軟肉厚かつ高感度の触覚センサの設計開発(GMR素子方式を提案した論文,インダクタンス計測方式を提案した論文) 参考になる外部記事 “You’ve Come a Long Way, Disembodied Robot Baby” in Gizmode. 初代の顔からの発展を紹介してくれています.  

親の模倣が母音発達を導く過程を計算で分析する

Sorry, this entry is only available in Japanese. For the sake of viewer convenience, the content is shown below in the alternative language. You may click the link to switch the active language. 子供が母国語の母音を獲得する過程に,親の期待や模倣の癖(バイアス)がどのように影響するかを計算機シミュレーションで分析しています.

子供アンドロイドに向けられる対乳幼児発話の分析

Sorry, this entry is only available in Japanese. For the sake of viewer convenience, the content is shown below in the alternative language. You may click the link to switch the active language. 子供アンドロイドに対して向けられる発話を記録して音響的に解析し,大人が子供に向けるような特徴的な発話がどのように表れるかを調べる研究を行っています.理化学研究所 脳科学総合研究センターの馬塚れい子先生の研究室との共同プロジェクトです. 発話データの収集(2015年) 発達心理学の言語獲得研究において,幼い子供に向けられる発話の特徴が調べられてきました.この研究分野では,対乳児向け発話(Infant-directed speech)と呼ばれるその特徴的な発話の特徴や役割を明らかにするため,幼い子供に向けられる発話と,それ以外の相手に向けられる特徴的な発話(例えばペットや外国人,あるいはカーナビ相手の発話)との比較分析が行われてきました.幼い子供だけを相手にした研究では,子供が好き勝手に動いてしまうため,分析に適うデータを集めるのが難しいためです.とはいえ,子供ではない相手に向けられる発話には,対乳児向け発話に見られる特徴の一部しか含まれないため,十分な比較分析ができないという現状がありました. そこで,動きや外見を調整した子供型アンドロイドを使う方法を提案しました.もし,それに向けられる発話が対乳児発話と匹敵する特徴を備えていれば,対乳児発話を研究するための新たなツールとなりえます.そこで,21人の幼い子供を持つ母親を集め,(a)対乳児発話,(b)対子供型アンドロイドロボット向け発話,またそれに加えて(c)対大人向け発話を,同じ状況下(変わったおもちゃの名前を相手に教える場面)で記録収集しました.合計で29時間分の録音音声に対し,文字のタグづけと韻律ラベリング(X-JtoBI)などの事後処理を実施しました.このようにして得られた音声データに対し,印象評価や音響的評価を実施していきます. 発話印象の比較評価(2015年) まず,発話印象の評価を行いました.対乳児発話,対アンドロイド向け発話,対大人向け発話の音声データから,同じおもちゃの名前を話している部分を抜き出し,18-24歳の第三者に聞いてもらい,それらの発話が,どの程度,幼い子供に向けた母親の発話に聞こえるか,を問う7段階評価を行ってもらいました.その結果,対乳児発話対アンドロイド向け発話の印象評価に有意な差はなく,そしてどちらも対大人向け発話よりも,より幼い子供向けの発話に聞こえる(p<0.001基準のt検定で有意),と評価されました.つまり,子供型アンドロイドロボットは,少なくとも第三者が聞いて対乳児向け発話に聞こえる発話を母親達から引き出すことができた,ということが確認できました. 参考文献: Ryuji Nakamura, Kouki Miyazawa, Hisashi Ishihara, Ken’ya Nishikawa, Hideaki Kikuchi, Minoru Asada, and Reiko Mazuka. Constructing the Corpus of Infant-Directed Speech and Infant-Like Robot-Directed Speech. in Proc. of the third international conference on...

Analysis of skin flow field of human face

Although facial expression is known to the one of important communication channel, deformation control of robotic facial soft skin is difficult and therefore facial expressions by android-type robots are poor, unreadable, or unnatural. In my project, measurements and analyses of humans’ rich facial skin deformation are conducted to find the design methodology to make robot facial expressions more rich, expressive, and natural.